2023年3月で40年の大学教員生活も終えました。これまでお世話になりました皆様には、心からお礼を申し上げます。今後は子供から高齢者まで、幅広くスポーツやフィットネスで関わってまいります。

 WHO(世界保健機関:World Health Organization)では心臓病、脳卒中、癌、糖尿病や慢性肺疾患などの「非感染性疾患」(non-communicable diseases:NCDs)が世界中の全死亡の約70 %を占め、NCDsによる死亡者数減少を各国で取り組むことをWHOの仕事の重要な課題として挙げています。このような情ky報を少しでも改善するお手伝いができればと思います。
 NCDsとは高血圧や脂質異常症、糖尿病など、いわゆる生活習慣病を中心とした継続的な治療が必要な慢性疾患の総称です。世界的に見ても人々の運動不足は深刻で、WHOの記事では、ヨーロッパ地域の成人の3分の1と若者の3分の2が運動不足であると報告されています。また、適度な運動は老化防止・病気予防作用のあるホルモン物質(若返りホルモン)を放出してくれるのです。これが身体の万能薬といえます。マイオカインには、脂肪の分解、糖尿病予防、動脈硬化防止、血圧安定という薬のような作用があり、認知症やガンにも効果があるとされます。
 しかし、楽しくないと効果はありません。健康増進や介護予防プログラムは簡単で楽しく、効果があると継続されます。

 入院した患者さんが一番困るのは体力低下です。疾病の予防、治療とともに生活機能障害(Disability)の有無に注目する必要があります。生活不活発と社会的役割の低下は若者・障がい者・高齢者など、どの年代でも深刻です。特に高齢期は自立度を低下させ、病気ではないが①体重減少、②主観的活力の低下、③握力の低下、④歩行速度の低下、⑤活動度の低下をもたらし、この5項目のうち3項目以上当てはまればフレイル(Frailty=虚弱)になります。フレイルが起こる前に、不活発は骨密度や筋力低下(サルコペニア)を伴い、サルコペニア肥満をもたらすことがクローズアップされています。特に普段に運動習慣がない人の筋肉は20~30代から少しずつ落ちていきます。筋肉はエネルギーをたくさん使うところですから、筋肉が減れば、使われずに余ったエネルギーは、脂肪に変わって体に溜まりやすくなります。それは、体形や体重が若いころとあまり変わらない人でも例外ではありません。BMI(肥満指数)が標準であっても、体の断層画像などで調べると、筋肉の中に脂肪が入り込んだに霜降り肉状態から、脂肪が多い状態となる人が意外に多く見受けられます。これが「サルコペニア肥満」です。
 このようなフレイルやサルコぺニアを予防し、健康な心身を育むために、ウオーキングやダンス・体操・スポーツは日常の常備薬となるので、まずは歩く、そして全身に効果のあるダンス・体操・スポーツを生活に取り入れて、自分の好きな身体活動で仲間と楽しむことができれば、人生は数倍楽しめるでしょう。

 2020年に歌って楽しい1分体操を公開し、2021年は楽しい音楽体操、2022年は心も弾む音楽体操を公開しました。是非ご活用ください。